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2019.4.20 取手校ゼミ 特別演習



(ログ担当:石渡)


知ったかアートゼミを千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館で行いました。

今回は、課題をもとに実際に美術館の作品を鑑賞する、特別演習です。



課題は、「身体話型鑑賞(しんたいわがたかんしょう)」

作品から得た感覚を、「鑑賞者独自の手話やボディランゲージのようなもの」 「身体話(しんたいわ)」で表すというものです。




「身体話」のルールとしては

①言葉の代替としてではなく、言葉から離れ、言葉を超えるために用いること

②意味と行為を、直接結びつけないこと

③言葉のように、誰もが同じように再現できないものでも構わない

ということが示されました。


鑑賞の対象となったのは、「ロスコ・ルーム」の作品。

「ロスコ・ルーム」はマーク・ロスコのシーグラム壁画のみが展示された空間です。


課題の共有後、約1時間各々作品を鑑賞します。

(他の作品を観るなど、時間配分は自由)

再集合し、ミーティング。「身体話」の発表をします。



ただし、「身体話」という体を動かす表現方法のため、

怪しいパフォーマンス集団だと思われないよう、

美術館から少し離れた庭園内でミーティングをすることに。


お天気に恵まれた、気持ちの良い日。

日差しも風も心地よく、春の草花に囲まれた庭園をお散歩し、移動しました。


途中の池にたくさんいたオタマジャクシ。

ウシガエルはオタマジャクシの時からビックサイズであることに、

ややざわめくゼミ生たち。


「身体話」の発表は、次のような形で行いました。

1.発表者が自身の「身体話」を発表する

  体の動かし方の説明はしても良いが、動きを意味付けするような説明はしない

2.発表者以外が発表者の「身体話」を真似する

3.「身体話」を真似して感じたことを話し合う


今回の課題のテーマは、「言葉から離れ、身体を使って鑑賞する」こと。

そのため、発表者からの言葉による説明は制限しました。


そして、発表者以外は「身体話」を真似することで、

言葉に頼らない、言葉を超える表現により、

発表者が作品から得た感覚を共有することを目的としました。


言葉や手話は、発する側と受け取る側共通の意味付けがあり、

自分から外に向かって発する記号のようなものです。


しかし、共通の意味付けを持たない「身体話」は同じ動きをすることで、

受け取る側も自身の感覚で発する側のメッセージを受け取ることができる、

つまり、「鑑賞の鑑賞」になります。



各々の「身体話」は実に様々。

特定の作品を表現する人、ロスコ・ルーム全体を表現する人。



寝転んだり、闘牛になったり。




意外と見たままの形を体で表現していたり。




共通の明確な意味付けはないのに、同じ動きをする中で、

「あ、この感覚、私も感じた」とつながる瞬間があって、不思議な気持ちになりました。




一方、言葉から離れることの難しさについての発見もありました。

「身体話」の発表をする時、動きの意味を説明したくなってしまう。


また、「身体話」での表現を考える上で、

まず自分が感じたことを言語化していたという意見もありました。

言葉からの脱却をどう促すのか、鑑賞プログラムの今後の展開につながりそうな課題です。


作品が発するメッセージや意味を明確にすることが重要視されてきた

従来の鑑賞の敢えて逆を行ってみる。


明確にしないことで、感じ方のズレや不可解さを抱えたまま終えることも

一つの正解とする、新しい鑑賞への可能性も感じた「身体話型鑑賞」。

生まれたばかりのプログラム、今後の展開も楽しみです。


 

 発表の後は、庭園のテラスでお弁当を食べながら、今年のゼミについて話し合いました。

今年は、主に取手を拠点に、月1回のペースでゼミを実施します。


内容は、ゼミ生の興味関心のあるテーマについての発表と、

鑑賞プログラムの実施、アートの最新情報の共有など盛りだくさんになりそうです。


一年をめどに、何かゼミの成果として形に出来ればいいなと考えています。

参加者も、子どもから大人まで、特に決まった形はありません。

集まってくださった方々と少しずつ形にしていけたらと考えています。


 

最後は、みんなで「アタック16鑑賞」!

1枚の絵画を16分割したカードを使って鑑賞する遊びです。

1/16になった絵の断片をよく見て、

何が描いてあるか、全体はどんな絵かを推理していきます。



切り取ることで、全体で観た時は気づかなかった細部までよく観ることができること、

少しずつパーツが出されていくので、

一歩ずつ絵と向き合って、感じ、考えることができることがこの鑑賞の特徴です。



次々と登場人物が出てきて混乱したり、

抽象画を切り取って、さらに何が描いてあるのか分からず、

想像だけがどんどん膨らんだり。



何より、みんなで感じたことをおしゃべりしながら、

ゲーム感覚で絵を楽しむことができるのが面白かったです。

 アタック16鑑賞を3作品終え、本日は終了。


外に出ると、陽が少し傾き、風が少し肌寒く感じました。

美術館に戻る上り坂をゆっくりのぼり、西日できらめく噴水のある湖をながめ、

今日のここの空気まで持って帰ることができればいいのにと思いました。


今日のゼミは特別演習、というより、春の遠足と呼びたくなるゼミになりました。

来年もやりたいです。



次回のゼミは6月2日(日)の予定です。

情報はこちらのブログやFacebookに掲載していきます。

ゼミは初めての方も歓迎です。お気軽にご参加ください。

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