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2019.6.9 KODAI OPEN STUDIO レポート

6月9日

取手市にある共同アトリエ「航大」さんの

オープンスタジオに、ゼミ生たちと向かいました。



20人以上が製作しているという関東最大の巨大スタジオで、

作品や製作風景、作家本人さんたちと出会いながら、それぞれ散策してもらいました。


少し意識的に体験してもらうために、

「最も気になった事柄についてのレポートを書く(200文字以上)」

という課題を出しました。以下、ゼミ生のレポートです。

*掲載は提出順



<ゼミ生W>


ARTIST YUKO  KOKUBUNさんとお話をして、、、

作品の下地になる細かいまか不思議な模様はどんなふうにして出来るのかなー

と近いて見ていましたら、国分さんが声をかけて下さいました。


えーこんな美しい作家さんが描いてらしたのだと驚いてましたら、

気さくにいろいろお話しくださいました。


製作工程はもとより、作品の意図をほとばしるようにお話しくださいましたが、

残念ながら私の許容範囲が狭いため、全部は理解できず、

ただただ感心してうなずいているばかりでした。


国分さんの視点は地球、自然、人、動物、宇宙等の奥にどんどん入り込み、

細胞、ミクロの世界からの想像、創造、メッセージを展開されている様です。

パソコン等を駆使して描き出すそうですが最終的には肉筆に頼るということでした。


お仕事もされていて週末KODAI STUDIOに出向いて制作をされているとのこと、

大変ですねーといいましたら、

制作をすることが、ご自分にとって、浄化され、精神が落ち着くとか、、、

表現したいものがあふれ出てくるのでしょうね。


これからも楽しみに拝見させていただきたく思いました。

とてもいいおはなしを伺い、アートへの興味がさらに深まりました。



<ゼミ生S>


まず最初に驚いたことは取手にこういうアトリエがあるということ。

中も広く驚きました。


扉を開けて目に飛び込んできた巨大な木彫に圧倒され、どんどん引き込まれていきました。

ジャンルにとらわれない現代アートは、ただ見るだけでも造形的に面白く、

作家さんに作品の意図を聞くことによりさらに見え方が変わって理解が深まりました。


デジタル全盛の現在、

あえてデジタルデータをアナログに変換することで歪みやブレを起こし、

バグを発生させるふるはたさんの作品は、

見ていると目を回しそうなチカチカした感覚を起こし、

オプティカルアートの作品としても見ることができます。


しかしそこには作家の鑑賞者に対する視覚的意図は無く、

アナログ世界に必ず存在する揺らぎ、歪み、撓みがもたらしたブレです。

プログラミングされた物が多く、機械的に物事を処理しがちな現代において、

チカチカしたバグの作品であるのに、一種の手触り、

温かさをかんじたことが不思議でした。


他にも印象に残る作品は多くあり、たくさんの刺激をいただきました。

コンセプトにこだわった作品、純粋に技術を見せる作品、技法に注目した作品など、

盛りだくさんでとても眼福な一日になりました。


アトリエの空気を直に感じることができてとてもうれしかったです。


<ゼミ生A>


「抽象絵画における顔の意義」


アトリエ航大におけるオープンアトリエにおいてアーティストと対話を行い、

作品内に顔を描くことについて、興味深い対比が見られたので、本レポートにて紹介する。


1人目は福本健一郎氏。

木や石、陶器を用いる彫刻家であり、自然物が主体の作品を作っている。

https://www.kenichirofukumoto.com/ ひょろっとした形状が特徴的な彫刻やドローイングが展示されており、

作品には顔や頭のような部位がつけられている。


抽象度の高い作品のため、作家に制作意図を尋ねると、

本人が東南アジアに1年半往訪していたとき

にジャングルで葉っぱの絵を描いていたところ、

葉っぱが自分の顔に見える瞬間があったとのこと。


それ以来、葉っぱも木も石も、全てが自分を写す存在で、

作家本人と同質のものと認識されるようになったそう。


そこから、作品の中には自分の感情を移入させる顔をつけているとのことである。

なお、アトリエ内には雑草が生えているが、

かつてはパテ埋めし生え広がらないように対処していたものの、

最近は作品に彩りを添えるものであり、

かつ、自己と同質の存在として受け入れるようになったということであった。


2人目は國分郁子氏。

自作したコラージュ作品を油彩に描き直し、

またコラージュに揺れ動くという往復をしながら世界観を広げる画家である。

http://yukokokubun.com/

作品では、自筆部分とコラージュが混ざり合い、抽象的な形状を生み出している。

その形状の中に、目と口にあたる顔のような部分がある。

作家からのヒアリングによると、

コラージュは、意味性をそぎ落としたひとつひとつのパーツを

再構築する作品であるとのこと。


現在、作家は再構築のモチーフとして宗教画を選択していることから、

自ずと顔が必要になるということである。


現在描かれているひとつひとつのキャラクターは、今後制作する、

サーカスをモチーフとした作品に配置構成していく、

パーツとなっていく予定であるようである。


作品の主体に顔を持たせることで、

新たなキャラクターとして構成していることがわかる。


この2人との会話により、

福本氏は顔を描くことで作品に自己性を生じさせることを図っており、

國分氏はキャラクターとして他者性を生み出すために顔を必要としていることがわかった。


2つの作品から、抽象絵画に顔を見出した際には、

誰を描くことを意図しているのか、

人称への意識を持つことを必要とするという発見があった。


写真は作家各々の展示風景である。

2人とも整然と並べているが、作品を見せるためにその他を覆うか、

作品を見せるための借景とするかという個性が垣間見えた。


ゼミ生F


【KODAI OPEN STUDIOにて最も心に残ったもの】  


アートをギャラリーや美術館等ではなく

工房=制作現場で見るのはまったく初めての体験でした。

作品そのものもそれぞれにインパクトがありましたが、

何より作家の息づかいを感じたことが最も心に残りました。


各作家の工房に置かれた作品や制作用の道具

(という表現が適切かどうかわかりませんが。)、

筆や絵の具、鑿、ペンキのスプレー等々、その種類の多様さに圧倒されました。


また、粘土、板、丸太、プラスチック等の素材や、

作業途中と見られるパソコン、棚に収納された書籍、壁に貼られたメモ等、

それらすべてが人間(作家)を介してアートを形作っているのだとの思いが湧いてきました。


これからアートを見るときに、

それがどのような工房で制作されたのか想像する楽しみができました。今回は以上。


ゼミ生M


古畑智気さんの作品を見て。

お好み焼きのマヨネーズのように規則的な動きで

上下左右に絵の具が乗せられたキャンパスは、

ぽってりとした厚みが感じられて、絵画というより壁紙のような印象を受けた。


キャンバスの前に置いてある機械を使って、

自動で描かれたもののようだったので、

はじめは「人の手で再現不能な精緻な美しさ」を表そうとしているのかなと感じた。

近くに寄ってじっと見てみると、厚みの理由がわかった。

真っ白に見えたキャンバスも、何色かの絵の具を使い、

何度も同じパターンを描いているようだった。


ただ、鮮やかな他の色は、

規則的な動きの白い絵の具に塗り込められて表面に

ほんのりとその痕跡が感じられるだけ。


表からは見えない色が込められた厚塗りに、

なんとなく地層のような大きな時間の流れが頭に浮かんだ。


もしこの作品に額がついていたら、

横から他の絵の具の地の色が見えることはなく、

感じ方もちょっと違ったかなと思う。

作者の方がいらしたのでお話を聞いてみると、

吹出口に絵の具が詰まったり、垂れて他の色に混ざったり、

絵の具という物理的なものの特性で現れる偶発的なものにも焦点を置いているようだった。


確かに、規則的な絵の具の網目に虫食いのように乱れたところがある。

繰り返される動きの中で起こる、

意図を離れたバグのようなものについて考えてると、

なんだか宇宙に星ができるみたいなことだなぁと

やたらに壮大な事柄に考えが行き着いてしまった。

この作品を何十倍も大きなスケールで作れたとしたら、

夜空を見上げるときのような、

気の遠くなる時間やら距離に背筋がゾクッとするような感覚が味わえて

面白かろうとちょっと思った。


ゼミ生S


まず驚いたのは、その大きさ、広さでした。

こんな大きなアトリエが生活圏内にあるなんて。 以前は会社の倉庫だったのでしょうか。

外から見た感じはお世辞にもキレイではなかったんですが、

中に入るとリノベーションされていて、とても居心地の良い環境に思えました。

作家の人たちはかなり若い方が多かった。

そして女性が多いのも印象的でした。

作家さんに話しかけるにあたり、ちょっと苦い思い出があります。

少し前に参加した、販売を目的としたアートフェアで、

話しかけた作家さんに塩対応されたことがあって。

「この作品はどのように…」と言いかけると

「制作の方法が知りたいんですか? それは言いたくありません。」と、

けんもほろろに返され、激しく落ち込みました。

きっと「どうせ買う気もないくせに」と見透かされたのでしょう。

はい、その通りです。 まあ、アーチストそれぞれ、考えは違うのでしょうが。

今回はおそるおそる質問すると、皆さん情熱をもって説明してくれました。

印象的だったのは、荒井理行さん。


どのようにして描いているのかよくわからない、不思議な感じに魅かれました。 ケーキの飾りつけのクリームをチューブで絞り出しているような…。

アトリエに入ってみると画材がとても整然と壁に掛けられている。

とても几帳面な感じを受けます。

絵の中にはところどころ紙が貼ってあってはがしたのでは?

と思うような、四角いスペースがぽっかり空いている。

意を決して質問してみると、製作途中の絵を指して教えてくれました。 もともと撮影した写真を貼っておいて、

そこに写っていない風景を想像して描いているとのこと。 そして画材はアクリル絵具を注射器に入れていたのでした。 実際には見えないものを描き出していたから、不思議な感じを受けたのか…。

福本健一郎さんの作品は、また違った魅力で魅かれました。


最初は木片が並んでいるだけと思ったんですが、

じっと見ているとなにやら顔と体がある!とわかり、

これは木像なんだと気づきます。

また気になったのが、木像が置かれている台の下にある植物。

これも作品の一部で、わざわざ配置したのかと思いきや、

隙間から生えてきたのだそう。 何回も隙間をパテで埋めたのに、

それでも生えてくるので、そのままにしていると言っていました。 生き物の力にはかなわないんですね。

どれも力をもってぐいぐいと迫ってくる作品で、大いに刺激された一日でした。


今回は以上!

みなさん楽しんで回られたようで何よりです。

レポートを書いてもらうと、一人で散策した体験が多視点になって面白いですね。


レポート提出お疲れ様でした!!