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2020.1.18 取手校3rd 2限目

2020年が始まりました!

昨年末に取手駅ビルにできた、新たな美術体験の現場「たいけんびじゅつ場」=Viva!

にて、鑑賞をテーマにした取手校地3年目2限目の講座を開講しました。


講師は1限目に引き続きこの方、

「美場工作(びばこうさく)」さんです。

(発音は島耕作とおなじイントネーションでお願いします。)




12名の受講生が集まった午後、

まずは講師がこれまで培ってきた鑑賞のプロセスを図解。

といっても、難しいことではなく、

鑑賞をする時に誰しもの頭の中で起こっていることを解体して、

少し意識をすると楽しくなるポイントを伝えます。

*過去に似た内容の記事があるので、詳しくはこちら


「あ、それだったらできるかも。。」と気持ちをほぐしたところで、

鑑賞作品が発表され、最初のワークに入ります。

*作品は今後も使用する可能性があって、ネタバレ防止のために今回のログでは隠します。


鑑賞作品をよくみて、「気になった部分」を5分でスケッチする。

というのを3回くりかえし、3枚のスケッチを描いてもらいます。

ただし、3枚ともが異なった視点で描かれていることがルール。


あくまで部分。全体を描く必要はないですし、

時間もあんまりないので、完成しなくて構いません。

自分が何をみているのか?を考えながら描き、

またそうすることで自然に観察や想像が始まります。


終わったらペアになってもらい、互いにスケッチを見せて感想を話しあいます。

ここでも話し方のルールが。

「聞き手」と「話し手」に分かれ、

「聞き手」がいろいろ質問したことに「話し手」が答える形で

対話を行ってもらいます。

重要なのは「聞き手」は自分の意見は言えないこと。

あくまで「話し手」の話をよく聞き、うまく話を聞き出すことに集中します。

他人の描いた絵、というか鑑賞視点を見るのは案外新鮮なので、

自然に話が弾み、会場は終始明るい声が響きます。


しばらくしたところで、役を交代し、同じことを繰り返したら、

だいたいここで1時間なので一旦休憩に入ります。


そしてここから後半のワーク。

今度はこれまでの鑑賞をヒントに、

「画面に描かれているもの以外」をスケッチしてもらいます。


最初のスケッチや鑑賞、また他人の意見を聞いたり想像が膨らんだりする中で、

すでに皆さんは「画面に描かれているもの以外」についていろいろ触れていると思います。


前後の状況や、画面外の環境、

なぜか関連を感じてしまう個人的なことや、

何かに見えてしまう形や色、

勝手に感じたメッセージなど。。。


そういったことを自由に描いてもらい、

作品やその解釈を拡張してもらいます。

最低3枚がルール。


かけたら最初の3枚のスケッチも含めそれを机の上に並べて、

自分がどんなことを考えてきたのか、よくみてみます。

スケッチ鑑賞の良いところは、自身のアイデアや視点が明確に

「一つのもの」として外に出せること。

並び替えたり、描いた順を考えたりして、

「鑑賞視点」をさらに客観的に鑑賞することでの気づきが生まれやすくなります。


そして、その中で、だんだん作品から視点が離れてゆき、

徐々に自分自身を鑑賞してゆくことにもなります。

「鑑賞します」と言ったときに、

あまりにも作品そのものや作者に囚われてしまう人も多い印象があって、

いったん作品から離れるポイントもあったらいいのにな、

ということでこのワークを入れてあります。


さて、作品から離れたところで、

最後の制作は、また作品と自身の視点との関係を考えるワークです。


鑑賞作品のコピー画像1枚と、

自分が描いた任意の2枚のスケッチを並べて卓上に展示して、

今日自分が感じたこと、気づいたことを表してもらいます。


2枚のスケッチは今まで描いたものをそのまま使っても、

修正して使っても、新しく描いても構いません。

視点を足し引き、編集して

作品との関係において何かを伝えようと表現してもらうワークになります。

ストーリー性があるものや、抽象的な形、

こちらに3枚の関係性を問いかける挑戦的なものまで、

いろんな3枚が出来上がります。

そしてここで、ペアを合体させて4人チームになり、

完成したスケッチ作品の観賞会を行ってもらいます。

ここでも、ちょっとしたルールが。

作品の作者は話すことができません。

他のメンバーに作品の解釈について語ってもらい、

作者はちょっとうずうずしながら、それを聞いてもらいます。


一通り作品を見てもらったら、

同じメンバーで「今日のプログラムを通して講師は何を伝えたかったのか?」

について話し合ってもらいます。

展覧会へ行くと、ここの作品にも何らかの意図やメセージがあったりしますが、

その展覧会自体の構成、キュレーションにも、もちろん意図があります。


企画者は何が伝えたかったのか?どんなことを感じると想定したのか?

そんなことを想像する様なミーティングをしてもらいます。

ということで、みっちり3時間の講義が終了。


今日はある意味「鑑賞視点を鑑賞する」という、

メタな鑑賞のプログラムでした。


「作品を見た自分の視点」を観察したり、

『「作品を見た自分の視点」を見た他人の視点』を聞いたり、

「『「作品を見た自分の視点」を見た他人の視点』を設計する企画者の視点」について

思いを馳せてみたりしました。


鑑賞は、「作品と自分」という関係だけではなく、

どんどん入れ子状になってゆく「鑑賞の鑑賞」の視点が持てると、

とても面白くなると私は思っています。


今回の講義を通じて、

そんな感覚が受講生に残っていたら嬉しいです。

それではまたどこかでお会いしましょう。



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