北野美術館 鑑賞プログラム実施 2023.3.31
- yusatoweb
- 7月24日
- 読了時間: 4分
先日は長野県にある北野美術館で、親子向けの鑑賞プログラムを行ってきました。


北野美術館は北野建設が持つ美術館で、日本画や近現代美術のコレクションをたくさん持っています。建設業だけでなく、ホテルや飲食店など沢山の業種に関わる北野建設はスキー部が有名で、かつて荻原兄弟や上村愛子を輩出し、渡部暁斗なども在籍しています。
中心部から離れた閑静な場所に美術館はあって、周りは山々やリンゴの木などに囲まれ、敷地内に湯島天神の分社があるのも特徴的です。
現在はコレクション展を開催していて、美術館の方が作ったワークシートは、小学生などが対象のものではありますが、一般の方も一緒になって多くの来館者がシート片手に作品を熱心に鑑賞されている姿が印象的でした。

今回行ったのは、「親子のおはなし鑑賞」と「鑑賞ノート作り」。
午前と午後の2回に分けて実施しました。
「親子のおはなし鑑賞」は、18年に一宮市立三岸節子記念美術館で行った「親子の糸でんわ鑑賞」のリニューアル版。親子でチラシを丸めた筒を使って、ヒソヒソとお話しながら見る鑑賞法です。
・自己紹介 方法の説明・会場へ移動 10分
・練習の鑑賞 5分
・発表と共有 10分
・本番の鑑賞 10分
・発表と共有 15分
・まとめ 10分

子供は作品を見ながら、気づいたことなどいろんなことを好きなだけ親に伝えられますが、親は自分の意見を言ってはいけない決まりがあります。子供の言っていることをひたすら受け入れるのが、この鑑賞の特徴。
親は自分の意見は言えませんが、質問はできるので、「何が描いてある?どうしてそう思った?」など、対話型鑑賞の基本の質問を中心に、子供が答えられそうな質問をいろいろ工夫して投げかけてもらいます。どんな問いかけが良いのか、いろいろ考えてもらうことも事。
最初に練習のおはなし鑑賞が5分あって、その後全体で集まり、親にどんなおはなしをしたのかをみんなに発表してもらいます。その後今度は、別の作品で10分の鑑賞を行い、再び集まっておはなしを共有します。

親はゆるいファシリテーターになって、子供たちの鑑賞視点を聞いて楽しみ、子供達も親が興味を持ってしっかり話を聞いてくれるので、話すことが楽しくなる、両者ウィンウィンなのが「おはなし鑑賞」です。

午後からの「鑑賞ノート作り」は、「見ることは作ること」をテーマに鑑賞作品を見ながら手元でその作品を描くプログラムになります。以前行った「スケッチ鑑賞」の簡易版的な位置づけ。https://note.com/yusatoweb/n/n8c1616d0ee84
・自己紹介 方法の説明 10分
・描きたい絵を探す 5分
・ノート作り 20分
・鑑賞会 20分
・まとめ 5分

2室ある広い展示室内を探索して、自分の描きたい作品を探してもらい、どこが気になったのか自分の好きな場所などを自由に描いてもらいます。展示室の中では鉛筆しか使えないので別のブースを用意して消しゴムや色鉛筆も使います。
鑑賞の中で気づいたこと発見したことは「!」マークを付けて、 不思議だなどうしてだろうと思ったことは「?」マークをつけて、絵と言葉でも書いてもらいました。
20分ほど制作時間があります。
作品を描こうとすると、自然によく観察することになりますし、いろんな発見や、疑問も浮かんできます。





完成した作品をそれぞれの絵の近くに飾って、最後は鑑賞会をして参加者からコメントをもらいながら展示室を回りました。
見ているものを絵にしてもらうと、鑑賞する時の目線がどこにフォーカスが合っているのかというのが、言葉とはまた違った感覚で捉えられるのが面白いし、記録として残るので、描いたものを見る人もまた色々と解釈が広がりそうなプログラムになっています。
久しぶりに対面での鑑賞プログラムを美術館で行えて大変楽しかったです。
プログラムに参加される方以外の親子も美術館にたくさん訪れていて、それぞれの滞留時間がかなり長く、ゆったりと過ごされている印象があって地域の雰囲気や美術館との関わりを感じる時間となりました。
様々な取り組みをこれからもされていくそうなので、どんなことが起こるのかとても楽しみです。



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